お花見
2023/03/13
もう桜前線はどこなんだろうとニュースが気になりだしました。毎年この時期になると在原業平の歌を思い出します。”世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし”。本当に桜がこんなにも気にならないのであれば春はのんきに過ごせるのにと思います。春は自分も含め周りの環境が変わり心落ち着かない時だからこそ、短い期間しか咲かない桜をゆっくりと眺めたいと毎年思うのです。お花見に行くのはいつにしようかと楽しい悩みです。お天気が良くて、お休みの日で、桜が満開で、でも夜桜もきれいだろうから仕事帰りに少し回り道してみようかとか。わくわくしてきますね。
入学式の日、クラスで担任の先生からお話を聞いている時、中庭の桜の花びらが一気に舞い上がって5階の私たちの教室の窓の外を流れていったことは鮮明に覚えています。夢のような一瞬でした。
子供たちが幼稚園に通うようになったころ、ある大学の桜並木道の横に住んでいました。それまでずっとそばに離れずにいた子供たちが幼稚園に行って、ポツンと私が一人残されたリビングの掃き出し窓から桜の花びらがふわ~と吹き込んできたのも忘れ難い思い出です。少し子供の手が離れたことへの安堵感と寂しさを一度に両方を味わった瞬間でした。
私と同じように昔から日本人は桜に楽しさと寂しさを感じてきたのだと和歌集を開くたびに思います。